2026年9月28日週は「雇用統計ウイーク」。ドル円相場は、10月2日に発表される米9月雇用統計を控え、普段以上に値動きが大きくなる可能性があります。
今週最大の注目材料は、10月2日(金)に発表される米9月雇用統計(Employment Situation)です。
米労働統計局(BLS)の発表スケジュールによると、9月分の雇用統計は10月2日(金)米東部時間8時30分、日本時間では21時30分に発表される予定です。
さらに、その前となる9月29日にはJOLTS(求人・労働異動調査)も予定されており、米国の労働市場を確認する重要指標が続きます。Bureau of Labor Statistics
現在のドル円では、米国の追加利上げ観測、日本銀行の金融政策、為替介入への警戒など複数の材料が交錯しています。
今回の雇用統計がそのバランスを変える材料となるのか。
この記事では、雇用統計ウイークのドル円について、現在の相場環境と3つのシナリオから考察していきます。
※本記事は2026年9月27日時点の公開情報を基にした相場考察です。将来の値動きを保証するものではありません。
2026年9月28日週は「雇用統計ウイーク」
FXトレーダーにとって米雇用統計は、毎月注目される重要経済指標の一つです。
今回発表されるのは2026年9月の米国雇用情勢です。
発表予定は次の通りです。
2026年10月2日(金)21:30(日本時間)
米雇用統計では、主に次の項目が注目されます。
非農業部門雇用者数(NFP)
失業率
平均時給
単純に「雇用者数が増えたか」だけではなく、失業率や賃金の伸びも含めて市場が判断する点が重要です。
特に現在は、米国の金融政策をめぐって追加利上げの可能性が市場で意識されています。
そのため今回の雇用統計は、「米国経済が追加利上げに耐えられるほど強いのか」を判断する材料の一つとして注目されそうです。
前回8月の米雇用統計は予想を大きく上回った
まず、前回の結果を確認しておきましょう。
9月4日に発表された8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比16万2,000人増となりました。
Reutersがまとめた市場予想は5万6,000人増だったため、大幅な上振れです。
失業率は4.1%で横ばい。
平均時給は前年同月比3.1%増となりました。Reuters
雇用者数が市場予想を大きく上回ったことで、発表後にはFRBによる利上げ観測が強まり、ドル買い・米金利上昇につながりました。Reuters
つまり今回の9月雇用統計では、
「8月の雇用回復が一時的だったのか、それとも労働市場の強さが続いているのか」
が重要な確認ポイントになります。
現在のドル円は「米金利」と「円買い警戒」の綱引き
今週のドル円を考えるうえで重要なのは、雇用統計だけではありません。
現在は大きく分けて、
ドルを買う材料
と
円を買う材料
の両方があります。
米国側では、インフレへの警戒からFRBの追加利上げ観測が続いています。
9月23日にはドル指数が約2カ月ぶりの高値まで上昇し、市場では10月FOMCでの追加利上げ観測が強まっていました。Reuters
一方、日本では日銀が9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げました。
ただし、政策委員2人が反対票を投じたことなどから、市場では日銀が今後も積極的に利上げを続けられるのかについて慎重な見方も出ています。Reuters
この結果、日銀が利上げしたにもかかわらず円買いが持続せず、9月22日時点ではドル円が157円台で推移していました。Reuters
今週のもう一つの重要ポイントは「為替介入」
現在のドル円を見るうえで忘れてはいけないのが、日本政府・財務省による為替介入への警戒です。
日本は8月にドル売り・円買い介入を実施しており、8月末までの約1カ月間の介入額は過去最大規模となりました。Reuters
さらに9月には、日本当局が市場参加者へ為替レートを問い合わせる「レートチェック」を行ったとの報道もありました。
レートチェックは実際の介入そのものではありませんが、市場では介入への警戒を高める材料として受け止められることがあります。Reuters
したがって、
米雇用統計が強い
→ドル買い
→ドル円上昇
という単純な構図だけを見るのは危険です。
ドル円が急上昇した場合には、同時に介入警戒による円買いが強まる可能性も考えておく必要があります。
9月29日のJOLTSにも注目
雇用統計は金曜日ですが、その前に一つ重要な指標があります。
9月29日(火)のJOLTS(求人・労働異動調査)です。
BLSの予定では、8月分JOLTSは米東部時間10時に発表されます。Bureau of Labor Statistics
JOLTSでは、米国企業の求人件数などから労働需要の状況を確認できます。
そのため、金曜日の雇用統計を待つ市場にとって、JOLTSが先行材料として意識される可能性があります。
求人が強ければ、
米労働市場は依然強い
→追加利上げ観測が強まる
→米金利上昇
→ドル買い
という反応につながる可能性があります。
反対に求人が大きく減少すれば、雇用統計への警戒からドルが売られる展開も考えられます。
シナリオ① 雇用統計が強かった場合
ここからは、今回の雇用統計後のドル円を3つのシナリオで考えてみます。
まずは雇用統計が市場予想を明確に上回った場合です。
例えば、
非農業部門雇用者数が予想を上回る
失業率が低下または予想より低い
平均時給が強い
といった結果が重なれば、米労働市場の強さが改めて確認されることになります。
現在はFRBによる追加利上げの可能性が意識されているため、強い雇用統計は追加利上げ観測をさらに強める可能性があります。
その場合、
米金利上昇
→ドル買い
→ドル円上昇
という反応が基本シナリオの一つになります。
ただし、ここで注意したいのが為替介入です。
ドル円が雇用統計をきっかけに急上昇した場合、円安の「水準」だけでなく動くスピードによっても介入警戒が強まる可能性があります。
したがって、強い雇用統計だからといって、高値を無条件に追いかけるのは注意が必要です。
シナリオ② 雇用統計が弱かった場合
反対に、雇用統計が市場予想を大きく下回った場合です。
例えば、
雇用者数が予想を大きく下回る
失業率が上昇する
平均時給が鈍化する
といった結果になれば、米労働市場への懸念が強まる可能性があります。
その場合、
追加利上げ観測後退
→米金利低下
→ドル売り
→ドル円下落
という展開が考えられます。
特に今回は、前回8月の雇用者数が予想を大幅に上回っているだけに、その反動が確認されるのかもポイントです。
一方で、弱い雇用統計が必ずドル円の大幅下落につながるとは限りません。
市場が事前にどこまで弱い数字を織り込んでいるかによって、反応の大きさは変わります。
シナリオ③ 市場予想に近かった場合
3つ目は、雇用統計が市場予想と大きく変わらなかった場合です。
このケースでは、発表直後こそ上下に動いても、その後は別の材料へ市場の関心が移る可能性があります。
特に今回は、
FRBの追加利上げ観測
米国のインフレ動向
日銀の追加利上げ観測
日本の為替介入警戒
といった材料が同時に存在しています。
そのため雇用統計が決定打にならなければ、再び米金利や日米金融政策の方向性がドル円の中心材料になりそうです。
ドル円で注目したい価格帯
今週は、特定の価格を「必ず反発する」「必ず突破する」と考えるのではなく、市場参加者が意識しやすい価格帯として見ることが重要です。
9月22日時点でドル円は157円台で推移し、その前には158円台半ばまで上昇する局面もありました。Reuters
そのため上方向では、
158円台~直近高値圏
での値動きに注目です。
ここを明確に上抜ければドル買いが加速する可能性がある一方、介入警戒も一段と強まりやすくなります。
下方向では、9月上旬に円高が進んだ際、ドル円は153円を下回る水準まで下落しました。Reuters
したがって今週は、一本の水平線だけを見るのではなく、
直近高値・直近安値・節目となる価格帯
を確認しながら値動きを見ることが重要です。
雇用統計では「最初の動き」に注意
雇用統計発表時に初心者が特に注意したいのが、発表直後の最初の値動きだけで方向を判断しないことです。
例えば、
雇用者数は強い
↓
ドル円急上昇
となった数秒後に、
失業率は悪化
平均時給も弱い
と市場が判断し、一気に反対方向へ動くことがあります。
つまり雇用統計では、一つの数字だけではなく複数の項目が同時に発表されるため、最初の反応と最終的な方向が逆になることもあります。
また、重要指標発表時にはスプレッドが通常より拡大したり、注文価格と実際の約定価格に差が生じるスリッページが発生したりする場合があります。
高いレバレッジでポジションを持っている場合は、通常時以上にリスク管理が重要になります。
雇用統計ウイークのドル円で確認したいポイント
今週のドル円を見る際は、雇用統計当日だけではなく、週を通して材料を確認することが重要です。
特に注目したいのは、
① 9月29日のJOLTS
② 米長期金利の動き
③ FRBの追加利上げ観測
④ 日銀の追加利上げをめぐる見方
⑤ 日本政府・財務省の為替介入警戒
⑥ 10月2日の米雇用統計
です。
特に今回は、ドル買い材料が強くなればなるほど、円安進行による介入警戒も強まりやすいという点がポイントです。
単純な「ドル高=ドル円上昇」だけではなく、上昇したときに日本側がどう反応するのかも確認しておきたいところです。
雇用統計後こそ重要
雇用統計は発表された瞬間だけが重要なのではありません。
むしろ今回の場合は、
雇用統計の結果を受けて、市場が10月のFOMCをどう織り込むか
が重要です。
強い雇用統計によって追加利上げ観測が強まれば、米金利とドルの上昇が続く可能性があります。
反対に弱い結果によって追加利上げ観測が後退すれば、ドル円の上昇トレンドに変化が生じる可能性もあります。
発表直後の数分間だけを見るのではなく、米国債利回りや翌週の値動きまで確認することで、雇用統計が相場へ与えた本当の影響を判断しやすくなります。
まとめ
2026年9月28日週は、米9月雇用統計を中心とした「雇用統計ウイーク」として、ドル円の値動きに注目が集まりそうです。
米9月雇用統計は、10月2日(金)21時30分(日本時間)に発表予定です。Bureau of Labor Statistics
前回8月は非農業部門雇用者数が16万2,000人増と市場予想を大幅に上回り、失業率も4.1%で横ばいとなりました。Reuters
今回も強い結果となれば、FRBの追加利上げ観測を通じてドル買いにつながる可能性があります。
一方、弱い結果となれば追加利上げ観測が後退し、ドル売り・円買いが強まる可能性があります。
ただし、現在のドル円にはもう一つ大きな要素があります。
それが日本政府による為替介入への警戒です。
したがって今週は、
強い雇用統計 → ドル円上昇
だけを想定するのではなく、
ドル円上昇 → 介入警戒強まる
という二段階の相場反応まで考えておく必要があります。
今週のドル円は、方向を先に決めつけるよりも、
「雇用統計が強い場合」
「弱い場合」
「予想通りの場合」
の3つのシナリオをあらかじめ準備し、実際の数字と市場の反応を確認しながら判断することが重要になりそうです。

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